マリンオープンイノベーションプロジェクト
(MaOIプロジェクト) の推進

期間:(検討)2018年度~、(実施)2019年度~

機関:静岡県、一般財団法人マリンオープンイノベーション機構

参考:「MaOI」ウェブサイト ( https://maoi-i.jp/ )

 日本一深い駿河湾をはじめ生物多様性に富んだ海洋環境を擁する静岡県では、海洋の可能性に注目し、特に駿河湾をテストベッドとして、海洋関連産業の推進と海洋環境の保全に取り組むブルーエコノミーの世界的な拠点形成を目指した事業に取り組んでいます。
 ブルーエコノミーは、船舶・海運、水産など従来からの海洋産業だけでなく、未来に展開が期待されるバイオ、ロボティクス、情報・通信など、新しい海洋関連産業を包含しています。特にバイオの分野については、事業の推進役である(一財)マリンオープンイノベーション機構(MaOI機構)に研究所を設け、サクラエビ、キンメダイなど静岡県の代表的な生物資源の全ゲノム解読に取り組み、持続的漁業の実現に資するため、大学等との連携のもと海洋生物資源の先進的な生物学的研究を積極的に進めています。また近年ブルーカーボンとして注目されている海藻についても、ゲノム科学・生化学的な研究を実施しており、得られた情報を基盤とした喪失した藻場の回復技術の開発にも取り組んでいます。さらにMaOI 機構では、海洋由来の乳酸菌と酵母の菌株を収集した海洋微生物ライブラリーを構築するとともに、産業応用の促進に資するようライブラリー菌株の機能を解明する研究も展開しております。これらの生物学的な取り組みに加えて、海況データ、水質データ等を集約し一元管理したデープラットフォームBISHOPの運営および改良を進めており、今後、収集データのより一層の充実を進めるとともに、アプリによるデータの可視化など「海の見える化」に取組み、産業界はもとより市民生活に役立つ情報発信を目指します。
 MaOI機構は、事業支援機関として、関連の会員企業と先進の研究知見の共有を図るとともに、所属するコーディネーターが海洋関連の企業等に積極的に訪問して新たな商品開発や課題解決の支援を行っております。その際、案件に応じてMaOI研究所の研究員が同行し、あるいは所要の知見を有するアカデミアや研究機関を企業等に引き合わせて連携した取組を促進するなど、研究者の知見を産業の現場に活かす取組を促進しています。
 2023年5月には、静岡市清水区でラウンドテーブルを開催。国内外の有識者等に持続可能な海洋の利用について考え、海と人が 共にある暮らしを未来につなぐために今我々がなすべきことについて議論していただきました。今後、国内外の多種多様な海洋関連産業が一堂に会して、その取組を展示・アピールする展示イベントの開催も計画しており、こうした活動を通じて、ブルーエコノミーの世界的な拠点づくりを推進していきます。

駿河湾テストベッド化に向け、実証フィールドサービスを提供