巻頭言
2021 年1 月より、「持続可能な開発のための国連海洋科学の10 年」が始まり、4 年が経ちました。この国連海洋科学の10年は、2017年の第72回国連総会において宣言されたもので、2021年から2030年までの10年間、持続可能な開発目標(SDGs)のうち、主にSDG14(海洋)の実現に向けて、未知の部分が多く残されている海洋分野に特に力を注いだ取組みが推進されます。
海洋立国および科学技術立国を標榜する我が国において海洋科学の推進は海洋政策の基盤となる重要課題であり、科学技術外交の側面からも日本のリーダーシップを示すことが期待されています。しかしながら、我が国の海洋科学分野における産官学民の連携は必ずしも十分ではありません。国連海洋科学の10年は、海洋研究者のみで実施するものではなく、様々な関係者とともに、協働による設計(co-design)・推進(co-production)・活用(co-delivery)を行っていくことが目指されています。そこで、日本海洋政策学会と笹川平和財団海洋政策研究所は、連携の基盤となる「国連海洋科学の10年に関する研究会」を2020年8月に立ち上げ、議論を進めてきました。
本事例集は、2021年に発刊されてから2冊目で、特に国の取り組みを充実させました。1冊目同様、国連海洋科学の10年の推進にあたって、我が国におけるこれまでの海洋科学分野に関連する取組みを世界に広く発信することを目指しています。この事例集が、海洋に係わる取組みをされている国内外の様々な方に活用されることにより、さらなる協働が促進され、国連海洋科学の10年の横断的な取組みが加速・推進されれば、それに勝る喜びはありません。
日本海洋政策学会 会 長 坂元 茂樹
公益財団法人笹川平和財団 理事長 角南 篤
きれいな海
健全で回復力のある海
生産的な海
予測できる海
安全な海
万人に開かれた海
- 137 度定線観測
- GEBCO Seabed 2030
- 海洋環境の衛星観測と観測データの公開(1)
- 海洋環境の衛星観測と観測データの公開(2)
- 大気海洋相互作用観測戦略 OASIS
- 西太平洋最強の海流を探る:第2回黒潮・隣接海域共同研究(CSK-2)~科学から社会の安定へ
- One Ocean Network for Deep Observation
- 日本海洋データセンターの運用
- 海洋状況表示システム「海しる」の効果的な運用・機能強化
- 分野横断シナジー創出型ウィンドファームの技術開発・推進
- 「海の次世代モビリティ」による沿岸・離島地域の海域の利活用・保全
- 国際海洋環境情報センター(GODAC)における研究データの集積・発信と行動変容・海洋人材育成への取組み(1)
- 国際海洋環境情報センター(GODAC)における研究データの集積・発信と行動変容・海洋人材育成への取組み(2)
- 日本沿岸の教育・研究施設-臨海実験所と水産実験所など-
- 国際連携による海洋秩序を目指した取組
- 情報収集と公開
- 国際連携による海洋調査とデータ公開