制定の背景

One Planet, One Ocean ― 海は世界を繋いでいます。また海の環境を守るためには国際協力を抜きにして進めることはできません。日本は国際的枠組みの中で、海洋国家として「海を知る」権利と義務を認識し、海洋科学研究の成果にもとづいて、国内外における持続可能な海洋開発を進めることが求められています。

『国連海洋科学の10年』は、UNESCO政府間海洋学委員会(IOC)が素案を作成し、国連総会に提案されたものです。2015年に持続可能な開発目標(SDGs)が採択され、海洋についてもSDG―14「海の豊かさを守ろう」としてこれに盛り込まれたことを受け、国連における海洋に関する専門機関として、IOC は今後どのようにSDGs、とりわけSDG―14の達成に貢献していくかが問われていました。1960年設立のIOC は60周年を目前に控え、海洋科学の面では国際協調をリードすることが求められていたこともあり、国際社会の要請に的確に対応するための方策が集中的に議論されました。

2016年6月の第49回IOC 執行理事会に提出された会議文書『IOC の将来に関するロードマップ』は、その後『国連海洋科学の10年』の基本的なアイデアの原型となりました。そして、2017年の第29回IOC総会における決議「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」として結実し、同年の第72回国連総会における「海洋及び海洋法」に関する一括決議の中で、2021年から2030年までの期間を「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」(以下、『国連海洋科学の10年』)と宣言することが盛り込まれ、決議されました。