海洋環境の衛星観測と観測データの
公開(2)

水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W)と高性能マイクロ波放射計(AMSR)シリーズ

期間:2002年6月~運用中

機関:国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)

参考:「高性能マイクロ波放射計AMSRシリーズ」(宇宙航空研究開発機構 地球観測研究センター)
( https://www.eorc.jaxa.jp/AMSR/index_ja.html )

 「しずく」に搭載された高性能マイクロ波放射計2(AMSR2)は、2002年6月打上げのAMSR-E以降、AMSRシリーズとして観測を継続しており、マイクロ波放射計としては世界最高の空間解像度と、雲を透過して地表や海面を観測可能なのが特徴であり、海面水温、海氷密接度、降水量、積算水蒸気量、積雪深、土壌水分量等を観測できます。得られた観測データは一般に無償公開され、世界各国の気象機関で現業利用されている他、気候変動による海氷の変動監視、海況監視や漁場把握、数値モデルとの比較や同化を通じた海洋環境予測の高精度化などに貢献しています。現在運用中のAMSR2の後継となるAMSR3を2024年度打ち上げに向けて開発中です。

「しずく」が捉えた2023年2月16日の南極の海氷分布
(白線:平年の氷縁分布)。

この日に、地球温暖化の重要な指標のひとつである南極海氷面積は、衛星観測史上最小値(218 万平方km)を記録した。雲を透過し、かつ、昼夜を問わず観測可能なマイクロ波放射観測は、現場観測の困難な極域研究の発展に貢献し、かつ、雲の発生しやすい熱帯域におけるエルニーニョ・ラニーニャ現象の継続的な監視を実現することで、全球の気候変動研究や現業利用に欠かせないデータ供給源となっている。

AMSR シリーズによる観測データを可視化する「AMSR地球環境ビューア」の表示例

複数の物理量の重畳、拡大・縮小・ピクセルのデータ表示・時系列表示などの機能に加え、2023 年には期間平均・偏差表示機能が新たに追加された。